ちょうど5年前くらいからシミュレーションの必要性を考えまして、4年前に導入しました。
ご存知の通り、富士通さんのSigalですね。これで伝送回路解析、波形解析とか
ノイズ解析とかクロストークですとか、これは4年間やってきたおかげで、ほぼ完璧だといえます。
今のところはIBISのデータをもらって、その検証から開始します。プリ・シミュレーションの結果に
基づき、お客様と話しながら、回路図そのものを、主にダンピング抵抗やパスコンの数とか値を
直していただきます。それでパターンニングをして、最後にポスト・シミュレーションを行い確認
します。この段階では、まず問題がないですね。これは間違いなく成果が出てきているという
ことで、自信を持って対処できます。
ただし、AccufieldでEMCのシミュレーションをやっておりますが、私はこれはかなり難しいと
思いました。なぜかといいますと、お客様にプレゼンテーションすると、言われることは、
「実機との相関性はどうですか」ということですね。
「実機で測定した内容」と「シミュレーションの内容」との比較です。
我々の場合、基板単体でやりますからね。
お客様の言われる「実機」というのは、基板が1枚だけということはありえないわけです。
筐体に入ったもののことを言っているわけで、筐体に入ったら、当然いろいろなことが
変わってきます。そこにいろいろなハーネスがついたり、何枚もの基板が合わさると、
このシミュレーションとの相関関係はどうなのかと聞かれても、非常に難しいんですよ。
我々、EMC対策をした基板設計ということで、4年間で実績を上げたのですが、基板単体で、
いかにノイズを押さえるかということを主に考えているわけです。
ここ2〜3年、お客様とのいろいろな話しの中で、EMCのシミュレーションができるということに
非常に設計者が関心を持たれています。設計者は回路設計のノウハウもありますし、
シミュレーションもできるわけです。問題はEMCですよ。それを実機でやるよりも、試作の
段階でできることが一番いいわけですからね。
そういう意味では、1枚ではできますが、相関関係ということには私も興味を持っているので、
ぜひ、測定値をいただこうと思い、波形写真などももらっています。
これでは、今まで問題はありません。
Accufieldについて言いますと、ここ2年の結果では、実機の測定値よりも、少々多めに
出るという「傾向」がありますね。ぼんやりとしているのですが、今までの経験上での結果が
出ています。
お客様が言われる、「相関性はどう? 精度についてはどうなのか?」ということと、「筐体に
組み込んだ時はどうなるか?」ということが問題なんですね。
実は長野電子回路研究会の研究員、久保田さんは、Accufieldを使用したEMI解析に
おいて、全国で5つの都道府県の方たちと共同研究をされており、レポートなどももらって
おります。この方たちの知恵をお借りして設計支援を行なっております。
実は、来月早々に都のEMCの暗室・測定室を見学させてもらいながら勉強をすることにも
なっております。同時に長野県で、そのような研究をされているメーカーさんのエンジニアの
方たちとネットワークを組んで共同で研究して、精度のあるものの開発を行なうことを目標
としております。
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