〜Part1〜
オムロン株式会社 
IT推進総括本部担当係長
主事 泉 馨様

オムロン岡山株式会社
開発エンジセンタ
技術情報システムチーム長
主事 杉岡 弘朗様

はじめに・・・・・・
お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

文中敬称略


Q 御社の事業内容ならびに業務内容をお聞かせ願えますか?

A 当社では昨年度より事業運営の基本を「カンパニ制」に置き分権をはかって います。

 カンパニーと事業内容をご紹介いたしますと

 ●インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー センシング機器、コントロール機器を
   はじめとする各種制御システム機器、そ れらをつなぐネットワーク技術から生産管理システムまで、
   トータルシス テムとしての、先進的FAシステム事業を推進する。

 ●エレクトロニクスコンポーネンツ ビジネスカンパニー 高度化する電化製品やビジネス機器などに
   不可欠なリレーおよびスイッ チ、車の安全・利便・快適性を高めるカー・エレクトロニクス機器、
   暮らしの 安心・安全を守る各種センサ等、機器組込みとして使用される制御コンポ ーネントを
   事業の中心とする。

 ●ソーシャルシステムズ ビジネスカンパニー 駅・空港を快適に利用していただくための自動改札機、
   自動券売機、自動 精算機等を中心としたトータルシステム、および安全・快適なクルマ社会
   づくりのためのシステム、ATM(現金自動預金支払機)をはじめとする様々な 金融自動化機器、
   システムを事業の中心とする。

 ●ヘルスケア ビジネスカンパニー 血圧計、電子体温計等の家庭用健康機器から、病院での医師の
   的確な診断をサポートするシステムの提供、在宅での健康チェックが可能なソフトま で、健康総合
   事業を推進する。

 ●クリエーティブサービス ビジネスカンパニー トータルアウトソーシング事業カンパニーとして、間接業務
   効率化のための コンサルティングおよび人事・総務・経理・物流など各種対事業所サービス を展開、
   スタッフ業務の効率化を一元的にサポートする。

 ●事業開発本部 モデム・TA等のパソコン周辺機器、カードリーダ・入退室管理システム、RF ID
   (無線)システム機器、プリントシール自販機、および電話用途向け音声 認識システム事業を
   中心とした事業本部。カンパニーとして自立運営が難 しいと判断される事業の育成・強化とともに、
   企業全体の成長戦略に基づく 新規事業分野も開発・育成をする。

 があります。その中で私の所属する、IT推進総括本部は本社機能部門として 「オムロンの情報化・
 IT戦略」を立案し、関連部門と協力して創りあげていくことをミッションとしています。
 この中で、技術情報に関係する共通アプリケーション作りを、各カンパニの事 業部のプロセス革新活動と
 歩調をあわせて実行して います。CAD・CAE・PDMはここに位置付けています。

 今回訪問いただきました、オムロン岡山はインダストリアルオートメーション ビジネスカンパニの中で
 制御コンポーネントを提供す る事業部に所属しています。主要な製品は、タイマ・カウンタ・温度調節器・
 電源などです。他カンパニーや事業部に比べ少し早 く電気系CADの更新やPDMへの取り組みを開始
 していますので取り組み内容を含めご紹介出来ると思い訪問いただきました。



Q それではPDMの話をお聞きする前に先ほどからCADのお話が出ているのですが、実際に現在とは別のCADを
  使われていて新しいCADにというところもあると思います。その辺りのお話を少しお伺いしたいのですが?

導入はですね94年度の終わりということで94年の11月ぐらいから検討していました。
 その当時は別のCADを使っていましたが、基板の設計が出来ないシステムではなかったのです。
 ただ、CAM出力に時間(半日以上)がかかる、シミュレーションやPDMなどを想定した時に繋がりが
 あまり良くないということで将来性を考えて先進性のあるCADを導入するということになり、いくつかの
 CADを検討した中で、図研さんのCR−5000BD導入を決定しました。

 その後、95年の1月17日から導入を開始しています。導入当初が阪神大震災の当日に当たりまして
 導入の先行きに大きな不安がありました。SEの方も来られないですし、ハードウエアの導入も間々
 ならない中から始まったんですよ。あと開発されたばかりの導入ということでレビジョンの1.01からの導入
 でして、いろいろな不具合と私どもの構築の不備など、準備不足もあったんですけども、その後いったん
 PWSを利用させて頂いてBDの幾つものバージョンを検証しました。

 最終的に立ち上げが終わるののに丸3年かけてBDを立ち上げています。
 人数的に見ると約160人・月かかってしまいました。よく上司もやらしてくれたと思います。
 それ位の人手をかけてやっと立ち上げましたがやはりBDに拘ったところが今は良かったと思っています。
 回路図と基板の垂直統合など操作性の良さがあったり、ライブラリーにいろいろな情報を付加できる
 ことなど、スピードだけでなく設計品質を上げるのに製造の情報が上手く回るようなBDに期待していました。

 結果的には、従来のCADに比べ50%以上、PWSに比べても20〜30%改善されたと評価しています。



Q その際にですね、既存の設計データの回路図、プリント基板などがあると思うのですが、
  この辺りはどのように移行されたのでしょうか?
移行したものとしなかったものがあるのですが、PWSがすぐに立ち上がりましたので、同じ図研さんの商品
 ですから簡単に移行できると思って1年かけて協力会社の応援を得て123ファイルをPWSに移行しました。
 その時も将来的にディスコンで基板のデータを触らないものは除外して絞りぬいたうえで123ファイルに限定
 して移行しました。


Q それは回路図も含めてですか?
そうです。
 ただし、変換のパターンをいろいろ変えて「基板のガーバーデータの状態」、「基板」だけ、「回路図・基板両方」の
 3つを組み合わせながら費用をあまりかけないように変換をしています。


Q そういう意味では先ほどの160人・月という中に工数も含まれているのですか?
ええ、そうです。
 
Q やはり移行が結構皆さん大変だと聞くのは、既存の財産をどうするかが大きいんでしょうか?
そうですね。でもそれをPWSに変換してしまったということで、最終的にまだBDに変換していません。


Q そういうことはPWSが残っているのですね?
残っています。
 しかし、意外に使わないというのが本音ですね。大幅な変更が多く、部品のディスコンが非常に激しい
 時代ですので部品をかなり入れ替えてしまいます。 どうせやるなら基板も回路もやり直しましょうという
 ことになってしまいます。私共の商品は、非常に息が長く、長いものは20年来の商品があります。
 それを見ても現在の最新部品で基板を作り直すという方が速いのです。
 過去のデータをあまり引きずらない方がいいということですね。



お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

次回へ続く・・・・ 次回は1/29(月)に掲載いたします。