ソニー株式会社 コアテクノロジー&ネットワークカンパニー

先端実装技術センター
設計技術開発部 EDA開発課

統括課長 鈴 木 誠 様

はじめに・・・・・・
今回は、ソニー株式会社 コアテクノロジー&ネットワークカンパニー 先端実装技術センター 設計技術開発部 
EDA開発課 統括課長 鈴 木 誠 様に、技術動向、業務改革などをインタビューさせていただきました。
お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

文中敬称略

Q 現在の主な業務内容からお話願いますか。
鈴木) EDA開発課では、EDA全般における設計技術の研究開発と、統合的な設計環境の構築を
     進めております。また、EMCの規格/規制に準じた技術検討、及び社内共通評価基準の
     策定等も行っております。


Q 実際には、今期の先端実装技術センターの改善テーマとしては、どのあたりにポイントを
  置いているのですか?
鈴木) EDAのテーマとしては、益々小型化・高速化される電子機器の設計において大きな課題である
     EMI設計技術の開発導入がメインテーマですね。また、回路基板の設計期間を短縮するための
     AutoRouter活用技術の確立にも取り組んでます。 
     インフラ面においてはEMI設計におけるKnowledgeDB等を共有する仕組みの構築にも着手しております。


Q 部品に関してなんですが、最近とくに民生系といいますか、よく品種レスということを聞くんですが、
  まあ、試作レスとか、設計の工程のお話もあると思いますが、その品種の削減や、部品の審査を
  していくということに関しての取り組みとしてはどうですか?
鈴木) 部品の標準化領域では、ネットワークカンパニーの中でプロジェクトを発足して品種削減活動等を
     しております。但し、このような活動は属人的であり継続させることが難しいんですよね。
     従って、設計プロセスの中で設計初期段階、つまり設計構想の中で標準部品を選定・活用できる
     仕組みを構築していくことが重要だと思っております。


Q PDMについてなんですが、今、各カンパニーとか事業所でも、一般的なPDMのツールを
  導入していくというところはあるのでしょうか?

鈴木) PDMという定義そのものが広い意味を持っていると思いますが、電気・メカを統合的にマネジメント
     するような仕組みはまだですね。個々の設計プロセスの中で、ワークフロー・モジュールなどを上手く
     活用した部分的な最適化、というような事例はありますが。また、部品情報の領域では協力メーカー
     さんを含んだ設計−製造−調達−サービスにおける情報流通のシームレス化が必要ですね。


Q それは全社統一で開発していこうという動きはあるのですか?
鈴木) それは、ないですね。今後、更に機構改革は進みますし、スピード優先の時代ですから、
     各ネットワークカンパニー単位で設計のプロセス及び各種インフラに適応したツールを開発・実装
     することが重要だと思います。勿論、そのツールが他カンパニーにも流用できれば理想ですが。


Q 電気系CADにつきましても、全社統一ということは、ないのでしょうか?
鈴木) 理想は統一することですが各カンパニーによってインフラも異なりますし、各種DBの属性も
      違いますのでCADを統一するというよりも、プロダクツに適応した最適アプリケーションを
      CADに依存することなく使用できる環境を構築することが重要だと思ってます。


Q ちょっと話が前後してしまうのですが、先端実装技術センターの中でEMCですとか、シミュレーションなどの
  話がこれから増えてくると思うのですが、そのあたりはセンターで最新のテクノロジーを扱って、各カンパニーに
  支援していくという位置付けになるんでしょうか?
鈴木) そうですね、我々は研究開発するだけではなくBest Practiceとして開発した技術をカンパニーの
     セットに適応実現させることが最大の使命です。また、その成功事例・失敗事例をカンパニーで
     情報共有するために全社委員会を発足させ推進運営しております。


Q では、2000年以降の中期計画ということで、お話をしていただきたいのですが?
鈴木) 先端実装技術センターは今年の3月に発足したセンターでして、先日、ロードマップを
     描き終えたところです。今後のブロードバンドネットワーク時代におけるリアルワールドを
     実現していくために新しいテクノロジーを創出していかなければいけません。
     具体的には、LSIと基板を融合した実装技術が進む中、設計技術においてもLSI/PKG
     /回路基板におけるCo-Design、Co-Simulation技術を確立していくことが必要です。
     また、「電子SI」というキーワードがありますが、私が提唱しております「電子SI」とは商品企画に
     Optimizeした実装技術・設計技術・システム技術のSystem-Integrationです。
Q 実際には、モデルになる事業所といったらいいのでしょうか、最初にその成果を出していくことについて、
  どのあたりの製品からやっていかれようとしているのですか?
鈴木) まずは既存のAV/IT機器に技術導入しております。今後は先ほどお話しましたブロードバンド
     ネットワーク時代に適応した超小型商品ですね。当センターの技術を総結集させていく必要があります。


Q 小型といいますと、ビデオですとかオーディオ機器といったものですか?
鈴木) 新しいAV/IT融合商品ですかね ..


Q あとは、「DFM」という言葉も最近よく聞かれますが、これに関してはいかがでしょうか?
鈴木) はい、これからLSI/ソフト・デバイス・実装技術は益々進化していきますから、肝心な「ものづくり」も
     新しい発想/概念を入れていかないといけません。今後、設計データには各種属性が
     付加されていきます。このデータの調理の仕方で「ものづくり」が変わっていきますので、
     LSI〜基板〜製造まで含めたDFM技術を検討していきたいですね。


本日は、貴重なお話を伺うことができました。 どうもありがとうございました。
・次の独占インタビューは富士通株式会社 様を7月27日に予定しております。ご期待ください。